しょぼ輪

しょぼい30代自転車屋のブログ

放置自転車撤去回収ビジネス:やめとけ フランチャイズの誘いもご注意ください。

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 今回は放置自転車回収ビジネスについて考えていきたいと思います。基本的には下記の本を検証するという形で記事にしていきたいと思います。

 

  本のリンクは貼っていますが、購入せず、レビューだけ見てください。本の著者、稲本勝美氏とビジネスパートナー中村裕昭氏は訴えられて敗訴しています。ご参考まで。

東京高判平成30年5月23日は、放置自転車回収業「サイクルストップ」のフランチャイズ本部である株式会社バイクオフコーポレーション及びゲートプラス、代表者らが行っていた勧誘行為が故意の詐欺行為であるとし、過失相殺なし、元加盟者の請求を全額認容する判決を下しました(判時2384号51頁)

http://nakamura-law.cool.coocan.jp/posts/news17.html

平成31年1月15日、最高裁は、サイクルストップという放置自転車回収業を行っていた株式会社バイクオフコーポレーション及び代表者稲本勝美、ゲートプラスこと中村裕昭の上告を棄却し、元加盟店の全面勝訴が確定しました。

http://nakamura-law.cool.coocan.jp/posts/news19.html

  さらに、こんな判決が出ても、まだセミナーをやっているという厚顔無恥ぶり。資本主義の豚め!

 

 さらに詳しくはこちら↓

aclo.jp

 

 ↓こちらは体験談が多めです。ノウハウ本としては下の本の方が参考になります。

起業としての放置自転車ビジネスがあなたを救う!

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 レビューを見るとこんな感じです↓ 

 Amazonレビューより引用。

放置自転車をお金に変える着眼点は評価できたが、結局1人じゃ稼げないということで巻末にセミナーへ導入しパートナーとなってみんなで稼ごう!
といい加減なノウハウで加盟者から300万円と毎月3万円(税別)を巻き上げるというもの。 パートナーなどにならずに本のタイトルどおりに動いた方が100万円稼げる可能性は高い。元手を50倍も支払っているのに全然稼げていないパートナー続出。
現在大量離反者が出る予定。
サイクルストップグループの活動も今年一杯続くのか・・・?

Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: 知識ゼロ、元手6万円で月100万円![放置自転車ビジネス]開業マニュアル

 

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 さらにAmazonレビューより引用。まあ、こういう仕組みです。

事業内容は面白く将来性のあるビジネスだとは思う。これ見て気になった人は、一人で頑張って起業したほうが良いですね。
著者の立ち上げた放置自転車ビジネスにおいて、全国からパートナーを募集し、セミナーを開催し、パートナーになる方は300万の加盟料を取り、毎月利用料として3万払うことになります。
パートナーが著者(本部側)の気分を少しでも悪くした場合は、即抹消されます。
300万返って来ない、毎月の3万返って来ない、勝手に抹消される、本部は次のパートナー(忠実な犬)を探す、本部には300万入る、の繰り返しで本部にとっては最高のビジネスです。

 この本自体はフランチャイズビジネスに人を集めるための本ではありますが、放置自転車撤去事業自体はビジネスとして成り立つものであると思っています。

 しかし、長く続けられるのか、副業として成り立つのかというと私は疑問を持っています。

 

 以下で検証していきたいと思います。 

 

目次

 

放置自転車撤去は儲かるのか?

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需要は確実にありますが…。

 結論から言うとあまり儲からないと思います。もちろん、大きな会社組織ではなく個人事業として考えた場合です。

 私自身、以前の勤め先と現在の店舗で放置自転車撤去をやっていたので、経験をもとに検証します。

 

 上記で紹介した本では100台の放置自転車を集めると32万円になると書いてあります。

 数字の内訳として

  • 輸出業者 70台×800円=56000円

  • リサイクル販売 20台×8000=160000円

  • 金属回収業者 10台×120円=1200円

  • 有料撤去 100台×1000=100000円

  • 合計320000円 となるそうです。

  

 ならないです…。

 

 私は放置自転車撤去事業はよっぽどにバイタリティーのある人以外はやらない方がいいと思っていますし、この事業で成功できるような方なら、ほかに儲かる事業があると思うのでそちら起業した方がいいと思います。

儲からないと思う根拠

 まず、100台撤去して70台が輸出業者に買い取ってもらえる状態であることがあり得ないです。

 放置自転車なので、大体は古くなっていますし、場所によっては雨ざらしです。さらに、子供用自転車や折り畳み自転車等は買取しない業者もいます。また、軽快車タイプよりシティーサイクルが安くなる場合も多いです。

 

 せいぜい半分の50台が妥当と思います。これでもかなり甘い見積もりだと思っています。私は一度、約20台すべて長期間雨ざらしで錆びだらけのごみだったという経験があります。

 

 次にリサイクル販売ですが、20台はまあ妥当かなと思います。しかし、販売するためには整備が必要です。20台(簡易整備で)20時間は必要でしょう。

 

 金属回収業者もまあ妥当だと思いますが、業者によっては無料引き取りと言われることがあります。私は一見のところにもっていき、無料引き取りしかできないと言われ、めんどくさいのでそのまま無料で引き渡したことがあります。

 

 有料撤去は論外です。今はたくさんの無料回収業者がおり、また、個人事業の零細が金を払ってくれと言っても、うさん臭くておそらく交渉の段階で断られるでしょう。

 

  • 輸出業者 50台×800円=40000円

  • リサイクル販売 20台×8000=160000円

  • 金属回収業者 30台×120円=3600円

  • 有料撤去 100台×0=0円

  • リサイクル自転車整備費 1000円×20台=̠△20000円

  • 合計183600円 

   

 このあたりの数字がリアルだと思います。もちろん、100台では採算が取れないので月200台撤去すると想定します。とすると収入は…。

 

 367200円/月

 

  次に経費を考えます。リサイクル販売を想定するなら自転車の保管場所もいるでしょう。

  • 倉庫付き駐車場 40000円

  • チラシ代 5000円

  • ホームページ代 1000円 

  • 通信費 6000円

  • 車両維持費・ガソリン代 20000円

  • 廃棄物処理費用 10000円
  • 合計82000円 

  (注)チラシ・ホームページは自分で作成し、印刷代とサーバー代のみという条件です。外注すれば初期費用・ランニングコストは跳ね上がります。

 手残りは285200円となりました。一見悪くない収入のように思いますが、以下で儲け以外の面で検証していきます。

かなり大変な仕事だと思う。

●労働時間で考える。

 次は労働時間を考えてみました。

  • 総労働時間 8時間×25日=200時間(基準値)

  • チラシ配り 1時間×25日=25時間 

  • リサイクル自転車作成 1時間×40台=40時間

  • リサイクル自転車販売・配達 1時間×40台=40時間

  • 撤去(現場一か所15台想定) 13か所×2時間=26時間

  • 輸出業者 13回×2時間=26時間

  • 金属回収業者 13回×2時間=26時間

  • 営業活動・電話対応 1時間×25日=25時間

  • 合計 248時間

 

 一日8時間営業で25日稼働と考えても、足が出てますね…。しかも、大量の自転車の積み下ろしはかなりの重労働です。チラシ配りも大変です。

 リサイクル自転車の整備も楽ではありません。肉体労働&肉体労働&肉体労働です。

 

 本に書いているように簡単にリサイクル自動車は売れません。キャンセルもクレームもあるでしょう。パーツの在庫も持つ必要があります。しかも40台の中古自転車をさばくために80時間かかっています(私はもっと時間がかかると思います)

 

 かといって、リサイクル販売をしないのであれば回収1台当たりの単価は一気に下がります。

●法律的な問題点

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逮捕リスクもあります。

 法律的な問題もあります。放置自転車だからといって無断で撤去することはできません。

 また、盗難車がある可能性もあります。警察官に来てもらい、盗難照会をする必要もあります。もちろん、それらは管理者が行うべきですが、適切に行われていなかった場合、もしくは委任されて怠った場合、最悪、逮捕や訴訟されるというリスクもあります。

 私はこのあたりの法律的な問題がグレーすぎて怖いので今はもう撤去事業はやっていません。どうしてもこのビジネスをやりたいのなら法律の専門家にかならず相談すべきです。

www.bengo4.com

 

●とにかくきつい

 なによりもこの仕事の難しいところは事業がラットレースであるところです。常にチラシをまき続けなければなりません(顧客になってくれても、ひと現場年1,2回程度しか呼ばれないでしょう)し、買取価格は安定しません(買取相場は常に変動しています)

 くだんの本には副業にいかがでしょうか、と書いてはいましたが、ほとんどの人間は長続きしないでしょう。例えば、くそ暑い真夏にのべ数十台の自転車を積んで、運んで、下ろしてを毎日できますか?

 実際に上記2冊の本に書いてあるパートナーさん(と著者から呼ばれています)の仕事ぶりを要約してみます。

  • サラリーマンと兼業 朝4時から8時までチラシ配り

  • 休日には12~14時間のチラシ配り 

  • マンション管理会社に切れられる
  • 猛暑の中10か所以上の現場をまわる
  • 職務質問される
  • 自転車泥棒と間違われ通報される 

 

 真似できます?私は無理です。私の知り合いにこの事業をやっている方がいますが、休日は無く、一日12時間以上働いています。

どうすれば儲かるのか?

 では、儲けるにはどうしたらいいのかと思い、少し考えてみました。

  • 太い不動産管理業者と契約する

  • 定期的に多量の自転車を調達し、輸出業者と有利な条件で契約する 

  • 自転車屋に撤去自転車を売る

  • バイクも狙う

  • 家族と一緒にやる(配偶者にも働いてもらう)
  • 店舗付き住宅、駐車場付き住宅を確保する 
  • 中古自転車パーツも売る

 以上、いろいろと書きましたが、単価を上げ、収益源を増やし、経費を圧縮するという当たり前の策となりました。

まとめ

 体力、営業力、行動力がある人なら自分ひとり生活できるくらいの収入は得られるんじゃないかと思いますが、最初の方にも書きましたが、その能力があるならきちんとした会社に勤めるか、別の事業をやった方がいいと思います。

 

 不用品回収業、リサイクルショップの兼業(多角化の一端)としてやるならいいんじゃないかなと思いました。

 

 

 ご拝読ありがとうございました!

 

 フランチャイズに悪いイメージがつくような記事でしたが、フランチャイズは悪いものばかりではありません。怪しいタイトルの本ですがこちらも参考になります↓