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はじめに:実は自転車屋はそんなにパンク修理をしない
どうも、しょぼ輪です。大阪府内で自転車屋を開業してまもなく5年になります(2021年12月現在)
「自転車屋はパンク修理で儲けている」と言われがちです。こんな感じですね↓
自転車屋さんにとって工賃はまるまる技術なので、お金はかからず100%が利益になります。
(中略)
おじいちゃんが一人でやってるようなつぶれそうな小さな自転車屋さんでは全て自分一人でやるので、工賃100%が儲けになるのです。暇そうな自転車屋さんでも、1000円のパンク修理が一日3件あればパンク修理だけで1ヶ月9万円です。
(中略)
自転車屋さんって、けっこう割のいい仕事なんですよ。
しかし、実のところ、自転車屋はパンク修理をあまりしません。そして、パンク修理が収益の要(かなめ)でもありません。
上の記事で引用したブログ記事のように月に90件ものパンク修理をすることは、ほぼあり得ないですね。
それはなぜかというと、パンク修理で持ち込まれた自転車のほとんどがチューブ交換、もしくはタイヤチューブ交換になるからです。
私の店だと
— 腳踏车 (@cyclekaigyou) 2021年12月18日
水調べ 0~5件
パンク修理 5~10件
タイヤチューブ交換 60~90件
チューブ交換 10~20件
パンクというと、画びょうを踏んだ、ガラスが刺さったというイメージですが、実際のところは寿命でタイヤが破れた、空気圧不足でチューブが劣化したため(これが一番多い)などの理由が圧倒的に多いです。
いぜん私が勤めていた自転車店では、タイヤチューブ交換比率という指標が社員の評価基準の一つになっていました。
「パンク修理」と「チューブ交換、タイヤチューブ交換」の比率を見るもので、だいたい7割から8割が平均でした。つまり10台の自転車が修理で持ち込まれたとして、そのうちパンク修理をするのは2、3台ということです。
パンク修理を90件するためには「パンク修理だと言って持ち込まれる自転車」が300~450台になる計算です。修理専業で食べていけますね。
店によって、利益構造や売り上げ比率は変わりますが、小さめの個人店は修理が利益の源泉になることが多いです。
私のお店では自転車の修理が粗利益の40から50%で、タイヤチューブ交換がさらにその中の50%くらいになっています。パンク修理は月に1万円程度です。
よって、自転車屋はパンク修理で儲けているは嘘、ということになります。実際に、「自転車屋はパンク修理で儲けている」という記事を書いている人間のほとんどが自転車業界の人間ではありません。
自転車屋はパンク修理で儲けてるって記事書いてるやつ、全員自転車屋じゃないんだよなあ
— 腳踏车 (@cyclekaigyou) 2021年12月18日
結論:自転車屋の利益の源泉はタイヤチューブ交換
↑この本の中でも、自転車屋の利益構造について触れられていますが、本当の数字か?と思っていしまいます。
自転車屋が注目すべき数字とは
KPI という言葉があります。 Key Performance Indicatorの略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」という意味だそうです。
KPIとは、組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標を意味し、達成状況を定点観測することで、目標達成に 向けた組織のパフォーマンスの動向を把握できるようになります。
自転車屋にとってのKPIはなんでしょうか。上の記事でも書きましたが、わかりやすい数字で言うとこのあたりかなと思いました。
- タイヤチューブ交換比率
- かぎ併売率
- PB車販売台数・販売比率(チェーン店のみ)
- 新車販売平均単価
- 来客数・売上前年比率
現状把握、経費改善、戦略策定、売上増加
先日、いい本を読みました。お店の危機にあたって、売り上げを上げることを第一に考えてしまうが、真の対策はそこではない、という内容です。
簡単な感想文はこちら↓
上で上げた指標は、最初の2ステップ、現状把握や戦略策定に役立つと思います。
まとめ
やや脱線してしまいましたが、自転車屋はパンク修理で儲けているわけではないということだけはご理解いただけると幸いです。
PV優先で間違った情報やわかりやすい嘘、さらにそれらのコピーページが蔓延するネット情報に辟易してこの記事を書きました。「自転車屋はパンク修理で儲けている」という検索結果に出てくる記事のほとんどが根っこが同じです。同じものを文章をちょこっと変えているだけのものばかり。
自転車屋を開業しようと思っている方がこのブログを見てくださっているかもしれません。自転車屋は黙っていてもそこそこやってくるパンク修理でそれなりの利益が出るというデマを信じて開業なさいませんよう。
noteもやっています。
ご拝読ありがとうございました!