この記事は「私が自転車店を経営するにあたり大切にしていること」についてです。
こちらは実際に自転車屋を経営しておられる方から寄稿していただいたものです。
非常にいい記事なので、お読みいただければ幸いです。
目次
はじめに
まず単刀直入に暴露しましょう。
自転車商材は薄利です。
では、なぜ私が自転車店を経営しているかというと、それはやはり「自転車が好きだから。」この一言に尽きます。
ほかの自転車屋さんも同じ意見の方が多いと思います。
「自転車が好きだから。」
↓
「お客様にも自転車を楽しんでもらいたい。」
↓
「楽しんで乗ってもらうためには安全に整備されてなければいけない。」
こういうフローが完成します。
もちろん至極一般的で当然のことなのですが、これを平等に分け隔てなく行うのはやや難しいことです
当然経済活動として自転車店を経営しているので、利益も出さなければいけませんが、利益優先になってしまうと、上記のフローから外れてしまうこともあります。
メンテナンスについて
「自転車を買いに行ったら自分の用途と違うやたら高額なものを勧められた」
「あの店に修理に持っていくとやたら部品交換を勧められる」
「ちょっと診てもらいたいけどいくらお金がかかるか不明瞭で不安」
こういった経験はありませんか?
自転車店のレビューでよくある意見です。
こういった部分が専門店の敷居を上げてしまっていると私は考えております。
もちろん、こちらも商売ですから高い自転車を売って利益を上げたいところです。
しかし、自転車というもの、特にスポーツ自転車は一度購入したら終わりという乗り物ではありません。
どんなに高額な車体でも定期的なメンテナンスなくして、本来の性能は発揮できません。
つまり、長期にわたってお店とお客様のお付き合いが必要なのです。
それなのに、目先の利益の為にお客様の求めていないものを売りつけるのは本末転倒とです。
ですので、私は車体をお求めになるお客様が来店された場合は、まずしっかりとどんな用途でご使用になりたいか話あった上で、納得のいく車体をお薦めするのをモットーとしています。
メンテナンスに関しては一般ユーザー様と自転車店との間隔に差があるのは事実と言えます。
日本においては安価なママチャリ文化がまだまだ根強く、1万円のママチャリをノーメンテナンスで3年間通学に使用し、卒業や生活環境の変化と同時に廃棄してしまうケースが多くみられます。
そういった点から、自転車に継続的なメンテナンスが必要という感覚をお持ちの方がまだまだ少ない印象があり、スポーツ自転車を購入した方も致命的な故障が発生するまでメンテナンスにご来店いただけないという事も多いです。
自転車の存在はお客様によってそれぞれ価値観が違いますし、ご多忙の方も多いです。
ですが、自転車も立派な車両ですし、自転車の事故は自分にも相手にも命に係わる可能性があります。
ブレーキが利かない乗り物程怖い乗り物はありません。
ですので、私はお客様にメンテナンスの重要性をご説明し、定期的なメンテナンスをお薦めしてります。
持ち込み修理やパーツ取り付けについて
併せて持ち込みの自転車(他店購入車体、通販、個人売買サイトでの購入車体)のメンテナンスを断られるケースがありますが、これはなかなか白黒つけられる問題ではないと思います。
あまりに持ち込み自転車の対応に時間を取られてしまうと、せっかく自分のお店で購入して頂いたお客様へ対する時間を割けなくなってしまったり、商品そのものに不良が生じていた場合に対応が難しくなるケースがあります。
私の経営するお店は基本的にお持ち込み車体・パーツは歓迎しております。
上記のような理由でメンテナンスを受けられず、危険な状態で使用されるのは良くないと思いますし、本来の性能が引き出せないのであれば、せっかく購入した自転車を楽しめないからです。
最後に
こうして最初に示したフローに戻るわけです。
もちろんなんでもOKなイエスマンではありません。
法律に違反するような仕様へのカスタムはお受けできませんし、安全上使用できないパーツの組み込み等はお断りさせていただいております。
ですが、やっぱり「自転車が好き。」なので、一人でも多くの方が自転車を楽しんでいただけるよう毎日努めている次第です。
ご拝読ありがとうございました!
noteもやっています。