はじめに
サイバーエージェントが手がけるネット配信サービス「Abema(ABEMA)」は、2016年のスタート以来、アニメやスポーツ、ニュース、バラエティなど幅広いコンテンツで話題を集めてきました。
しかし、華やかなイメージとは裏腹に、長らく赤字が続いてきたことでも知られています。
024年9月期時点で累積赤字は1,300億円を超え、経営の持続性に注目が集まっています。
本記事では、Abemaの収益化への道筋と海外展開の可能性を、数字や事例を交えて考察します。
赤字が膨らんだ背景
Abemaが大規模な赤字を抱える理由は明確です。コンテンツ制作や放送権の取得、インフラ整備など先行投資の規模が非常に大きいためです。
特にW杯や五輪などスポーツイベントの中継、オリジナル番組の制作費用は莫大です。さらにシステム開発やサーバー運用にもコストがかかり、広告市場の競争も激化しています。
2024年9月期の通期では営業損失が約68億円と前年より大幅に改善しましたが、累積損失は解消されていません。
とはいえ、第2四半期以降は四半期ベースで黒字化する局面も見られ、2025年には第1四半期で14億円の営業利益を計上するなど、回復の兆しも出てきています。
国内市場の限界と強み
日本国内では少子高齢化や人口減少が進み、広告費や有料会員の増加にも限界があります。動画配信市場もNetflixやAmazon Primeなどの競合がひしめき、激戦区です。しかし、Abemaには他社にない強みもあります。
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世界的に評価される日本のアニメ
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若年層に人気の高い格闘技コンテンツ
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大規模スポーツイベントの無料中継という独自性
これらのコンテンツは海外からの注目も集めやすく、潜在的な武器となり得ます。
海外展開の必要性と課題
国内だけでは投資を回収しきれない可能性があるため、海外展開は避けて通れない課題ともいえます。しかし壁も多いです。
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NetflixやDisney+など強力なプレイヤーとの競争
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コンテンツ権利処理や翻訳、現地マーケティングのコスト
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国ごとの視聴習慣や規制の違い
それでも、特定のジャンルに特化すればチャンスはあります。アジア圏でのアニメ配信や格闘技専門チャンネルなど、ニッチ戦略を取ることで差別化できる可能性があります。
国内収益化を先に固める動き
現状ではサイバーエージェントもまず国内の収益化に力を入れています。広告の高度化、PPV(有料配信)、スポーツベッティングサービス「WINTICKET」などを組み合わせ、複数の収益源を構築中です。
ここで安定した黒字を確保できれば、海外展開に挑戦する余力も生まれます。
まとめ
Abemaは、長年の赤字を経て収益化への道を着実に歩み始めています。まだ累積赤字は大きいものの、四半期黒字化や利益計上の実績も出始めました。
国内での強固な収益基盤を作り、得意分野であるアニメやスポーツを武器に海外市場へと打って出る。こうした段階的な戦略こそが、投資回収と成長の両立に必要な道筋といえるでしょう。
ちなみに、私は「チャンスの時間」という番組が好きです。