「まずは一度お目にかかってご挨拶を」
昭和のビジネスマンが大切にしていたこの言葉、令和の今でもたまに耳にします。初めての取引先、業務提携、転職活動の場面でも、どこかでこの一言が出てくることがあります。
でも、ふと疑問に思うことはありませんか?
「この時代に、わざわざ対面の挨拶って必要なの?」
今回はこのテーマを掘り下げてみたいと思います。
昭和的な「まずご挨拶」文化の背景
まず、なぜ昭和の時代には「対面のご挨拶」がそこまで重要視されていたのか?
それには以下のような背景があります。
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終身雇用・年功序列の時代背景
人と人とのつながりが一生モノである可能性が高かったため、初対面での関係構築が重視されていた。 -
コミュニケーション手段の制限
今のようにZoomやチャットツールがあるわけでもなく、「会って話す」ことが最も確実な意思疎通手段だった。 -
信頼は「顔を見てナンボ」
実際に会って、人柄や空気感を感じないと判断できないという価値観。
このように、長期的で深い関係を築くことが前提だったからこそ、「まず会う」ことの意味が大きかったのです。
現代におけるリアルの挨拶の価値
では、2020年代の今、この文化は通用するのでしょうか?
答えは――**「場合による」**です。
有効な場面
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大きな信頼が必要な取引・交渉
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新たなパートナーとの長期的な関係構築
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感情やニュアンスが重要な場面
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年配のビジネスパーソンとのやりとり
こうしたケースでは、今でも「一度顔を合わせる」ことが信頼構築にとって効果的です。特に初対面でのオンラインコミュニケーションは、感情の伝達が難しいという面もあります。
あまり有効でない場面
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短期的なプロジェクト
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リモート主体の働き方
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即レス・即対応が求められるスピード感ある環境
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業務上のやりとりが限定的な場合
このような場面では、「まず一度会う」ことにこだわるより、即時性と効率性を優先した方が良いケースも多いでしょう。
「挨拶=対面」の固定観念からの脱却
今の時代、「ご挨拶=対面で」という発想は少し古いかもしれません。メールやチャット、Zoom、Slack、SNS――現代にはたくさんの「ご挨拶手段」があります。
つまり、「まずご挨拶を」の精神は活かしつつ、手段は柔軟に考えるべき時代だと言えるでしょう。
まとめ:「まずはご挨拶を」は精神として残す
「まずは一度ご挨拶を」という文化は、昭和的な礼儀や人間関係の大切さを表す美徳でもあります。
現代においても、その**「最初の一歩を丁寧に」という精神は有効。ただし、それを必ずしも“対面”でやる必要はない**ということです。
対面が有効な場面では迷わず使い、そうでないときは柔軟な方法を選ぶ。そんなバランス感覚が、これからのビジネスには求められるのではないでしょうか。