
2025年6月、アメリカがイランの核施設に対して使用したことで注目を集めている超大型爆弾「バンカーバスター」。
その正体は、GBU-57A/B "Massive Ordnance Penetrator(MOP)"と呼ばれる、世界でも類を見ない超強力な地中貫通爆弾です。
本記事では、この兵器の性能、威力、コスト、そして他の兵器との比較をわかりやすく解説します。
- GBU-57 MOPとは?
- 🧱 13.6トンの重さの例え
- 爆薬2.4トンってどれくらいスゴいの?
- コストはどれくらい?
- 他の兵器とのコスト比較
- まとめ:バンカーバスターは「破壊」というより「抑止」の象徴
GBU-57 MOPとは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | GBU-57A/B MOP(Massive Ordnance Penetrator) |
| 重量 | 約13,600kg(13.6トン) |
| 爆薬量 | 約2,400kg(TNT換算で3トン前後) |
| 全長 | 約6.2メートル |
| 使用機 | B-2 ステルス爆撃機 |
| 用途 | 地下核施設や強固な防衛構造物の破壊 |
| 破壊力 | 地下60〜80メートルの強化コンクリートを貫通可能 |
この爆弾は、地中深くにある敵の核施設を破壊するために開発された「最後の切り札」と言われています。
🧱 13.6トンの重さの例え
| 物の名前 | 重量 | GBU-57との比較 |
|---|---|---|
| 軽自動車(例:スズキ アルト) | 約800kg | 約17台分!🚗×17 |
| 普通車(トヨタクラウンなど) | 約1,500kg | 約9台分 |
| 小型バス(マイクロバス) | 約5,000kg | 約2.7台分 |
| アフリカ象のオス(成獣) | 約6,000kg | 2頭分!🐘🐘 |
| コンテナ1個(20フィート・満載) | 約24,000kg | 約半分の重さ |
爆薬2.4トンってどれくらいスゴいの?
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軽自動車約3台分の重さに相当する高性能爆薬が使われており、その破壊力はTNT換算でおよそ3トン。
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爆発時のエネルギーは、地上なら中型ビルを丸ごと吹き飛ばすレベル。
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地下構造物に対しては、爆風が逃げにくいため、より強力な破壊効果を発揮。
もし都市地下鉄のような場所で爆発すれば、複数のホームや通路が壊滅し、地表にまで被害が及ぶ規模です。
爆発効果のイメージ
| 威力 | 爆発効果の例 |
|---|---|
| 1kgのTNT | 軽トラのドア吹っ飛ばす |
| 10kg | 一般家庭の部屋1つ破壊 |
| 100kg | 家1軒が吹っ飛ぶレベル |
| 1トン | 中型ビル1棟が大破レベル |
| 2.4トン(MOP) | 地下構造物を丸ごと破壊・コンクリ壁を崩壊 |
コストはどれくらい?
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1発あたりの推定価格:15〜22億円(1000万〜1400万ドル)
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理由:
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高性能素材や複雑な誘導装置の採用
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少数生産によるスケールコストの不利
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B-2専用設計による特殊性
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アメリカがイランに実施した攻撃では、14発前後のMOPが使用されたとされ、これだけで200億円を超えるコストがかかっています。
🚀 使用ミッションのコスト例(2025年イラン攻撃時)
| 項目 | コストの目安 |
|---|---|
| MOP 14発 | 約200億〜300億円以上 |
| B-2運用(燃料・整備含む) | 数億円/機(×7機) |
| 空中給油・支援部隊 | 数十億円 |
| 巡航ミサイル(トマホーク等) | 約1.5億円/発 × 数十発 |
➡️ 今回の作戦全体で、合計500〜1000億円規模の軍事コストがかかった可能性があります。
他の兵器とのコスト比較
| 兵器名 | 種類 | 価格(円) | 主な用途 |
| GBU-57 MOP | バンカーバスター | 約15〜22億円 | 地中深部核施設の破壊 |
| MOAB(GBU-43) | 通常爆弾 | 約18億円 | 地表面制圧 |
| トマホーク(BGM-109) | 巡航ミサイル | 約1.5〜2億円 | 長距離精密攻撃 |
| JDAM(GBU-31) | 誘導爆弾 | 約300〜500万円 | 汎用通常攻撃 |
| SDB(GBU-39) | 小型誘導爆弾 | 約600万円 | 軽装目標・市街地 |
| ヘルファイア | 空対地ミサイル | 約1000万円 | ドローン・ヘリ用 |
MOPは、通常兵器としては世界で最も高価な部類に入ります。しかし、その分だけ「他では破壊できない施設を破壊できる」特殊な能力を持っているとも言えます。
まとめ:バンカーバスターは「破壊」というより「抑止」の象徴
GBU-57 MOPは、技術的にも戦略的にも非常に特殊な兵器です。その破壊力とコストの高さゆえに、戦場で頻繁に使われるものではなく、むしろ「これを使う覚悟がある」という抑止力としての役割が非常に大きいのです。
今回アメリカが実戦投入したことで、その実力と限界が世界中に知られることになりました。今後の国際情勢にも大きな影響を与える出来事となるでしょう。

