雨が降ると思い出す不思議な小説です。視える人にしか視えない、罪を犯した者にだけ視える雨。X雨と名付けられた雨の正体とは...?
カバーデザインも秀逸です。大学生の時にブックオフで買いました。
内容はこんな感じ
一月のある快晴の朝、小学生の里緒の前に一人の少年が現れた。何故かレインコートを着ていた少年はフードをとり、潰れた右目をあらわらにすると、自分には見えるという、“X雨”のことを話しはじめた――。15年後、作家になった里緒は記憶に刻まれたこの話しを書き始めた。そして、物語の結末を完成させるため小学生時代を過ごしたあの街へ出発するのだが……。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作家が緻密な構成と斬新な表現で切り拓いた新境地。過剰な衝動に恐怖と感動が交錯する傑作ホラー。
物語の構造としては、「変な奴から聞いた話をもとに書かれた小説」という体で書かれた小説です。。
ホラーと見せかけて突然のラノベ挿入、ミステリー調の謎解きが始まったかと思えば、ノンフィクション風。インタビューっぽい文体になったり、中二病小説風になったり、ミステリー?風になったりとかなり忙しい小説でした。
さらに編集後記やあとがきにも仕掛けを施し、読み進んでいる間中、何がなんやらという小説です。
しかし、終わりよければすべてよし!読了後に強い印象を残します。
記事の題名のメタフィクションとは...
メタフィクションは、それが作り話であるということを意図的に(しばしば自己言及的に)読者に気付かせることで、虚構と現実の関係について問題を提示する
という意味です。この小説は最後には著者自身をも物語内部に巻き込み、謎の後味が残ります。
梅雨時にお勧めの一冊です。著者のデビュー作「Dブリッジ・テープ」も傑作ですよ。