しょぼ輪

しょぼい30代自転車屋のブログ

飯塚さんと杖の話:怒りをぶつけることが目的になっていませんか。

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 4月に起きた池袋暴走事故から2か月経ち、事故の実況見分が加害者の飯塚幸三さんとともに行われました。

www.fnn.jp

 この事故では加害者が上級国民だから逮捕されないだとかいろいろと言われていますが、その話は置いといて杖の話をさせてください。

 

杖が浮いている、地面についていない

 実況見分の動画がネットに上がると、「杖が浮いている」「杖が地面についていない」からの「本当は普通に歩ける」「足が悪いと偽って同情を誘っている」というバッシングの声が上がりました。

 まとめサイトとかツイッター上が主で、こんな感じです↓見るに堪えない低民度

matomame.jp

杖は様々な種類と使い方がある

 私の父は過去に脳梗塞を起こし、後遺症のため一時歩行困難でした。左半身にまひが残り、杖を使用しなければ歩くことができない時期がありました。

 その後、治療とリハビリのおかげで麻痺は残ったものの杖なしでも歩行できるまでに回復しました。

  ですが、今も杖をもって歩いています。杖の使用目的は段差を乗り越える際の補助

 転倒防止バランスをとるため、です。

 使っている杖は軽量なT字杖です。

・杖の特徴
真っすぐな杖に握り手が付いている最もスタンダードなタイプです。誰でも扱いやすく、デザインの種類が豊富という特徴があります。
グリップ部分を握り、杖の先を地面について歩きますが、特別な扱いは必要ないため、初めて使用する人もすぐに慣れることができます。シンプルな形状で比較的軽量のため、高齢者が持ってもそれほど負担になりません。(中略)

・T字杖に適している人
基本的に、杖がなくても自力で歩ける状態の人におすすめです。T字杖はあくまでも歩行のサポート用であり、体重の約6分の1までしか補助できないからです。

https://www.irs.jp/article/?p=289 より引用

 

 父は歩く際、今でも杖を持っていますが飯塚さんのように杖は地面から浮いています。私は飯塚さんが歩行困難者の演技しているとは思いません。

 おそらくバランス感覚が低下していて、それを補うために杖を使用しているのではないでしょうか?

みんなで叩くと気持ちいい。さわやかな一体感

  最近読んだ本の中の一節に、人にとって「正義」とは最大の娯楽なのだ。という言葉がありました。比喩ではなく、不正義をバッシングすることはドーパミンが大量に放出される娯楽の王道なんだそうです。

 

 炎上した人や企業を大勢で叩くことを「祭り」という表現は言い得て妙で、適切な表現だと思います。

 ネット上では毎日「祭り」が起きていますが、皆一様に怒りを吐き出し、共感しあい、気持ちよくなり、すっきりしたらはい終わり、次ちょうだい!と修羅道を輪廻し続けるのです。

解決になってない

 もし、杖がなくても歩けたとして、それがなんなんでしょう?嘘つきだから早く逮捕しろという意見がありましたが、嘘をついた人を逮捕すれば事件は解決するんでしょうか。

 そもそも、もしも彼が警察に忖度させるほどの上級国民だったとして、歩行困難を装って同情を誘う必要はありますか。

 

 どうも矛盾していて、抵抗しない相手に怒りをぶつけて気持ち良くなりたいだけのように思えます。

 

 中世ヨーロッパでは処刑見物が娯楽だったそうですが、今はネット空間がその役割を担っているのかもしれません。

  

 ご拝読ありがとうございました。