まだ今年が始まって4か月程度ですが、今年一番となりうる映画と出会いました。
メッセージ
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『メッセージ』は、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にエリック・ハイセラーが脚本を執筆し、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めた2016年のアメリカ合衆国のSFドラマ映画である。出演はエイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーらである。
初公開: 2016年11月11日 (ロシア)
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作: あなたの人生の物語
原作者: テッド・チャン<ストーリー>
突如地上に降り立った巨大な宇宙船。
謎の知的生命体と意思の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、“彼ら"が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。
そして、その言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けた美しくもせつないラストメッセージが明らかになる――
99点
この映画では派手なアクションなどは全くありません。 はじめはループものかと思いましたが、見終わるとそうではありませんでした。不思議な物語ですね。
この映画は非常に評価が高いようで、とても良い考察記事や感想がネットにいっぱいあるので、この記事では私の感想や思ったことを書いていきます。ネタバレもありますし、見ていない人にはよくわからない内容になっています。
この映画の面白かったポイント
宇宙人とのコンタクトにおける手探り感
よくSF映画で宇宙人が地球の言語を話してくるみたいな描写がありますが、よく考えればいくら知能が高くても認識できない概念なんかはどう考えても理解できないし、翻訳もできないわけで。太陽が昇りっぱなしの星に生まれた宇宙人に朝昼晩という概念は理解できないですよね。
ということで、音声による伝達が可能か、文字による疎通は可能かと様々試していく過程は楽しめました。
宇宙人の文字のクールデザイン
宇宙人の文字が超クールです。宇宙人は触手から墨のようなものを出し、円形の文字を描きます。水墨画のようです。
さらに彼らの文法には時制がなく、円形のため、文頭と文末もありません。過去現在未来をすべて同じものとして認識するという宇宙人の特異な能力に由来しているらしいです。
言語の習得による認識の変容
物語が進む中で、宇宙人が発する「我々はあなたたちに武器を提供する」という(解読された)言葉によって地球人たちの結束が崩れ、あわや宇宙戦争勃発という展開になります。
しかし、宇宙人が伝えたかった真意は「言語(=武器)を提供する」ことで、言語の習得によっておこる認識の変容こそが宇宙人が地球人に授けたいものだったのです。(そして、3000年後に起こる危機を人類に助けてもらう)
言語学者であった主人公は宇宙人の言語を習得したことで宇宙人と同じく「過去、現在、未来を同時に認識する(未来予知?)」能力を得て、宇宙人との戦争の危機を回避します。
戦争回避の展開がすごいです!
主人公が、未来の自分の著書によって宇宙人語を解読(現在)、宇宙人語を習得した?中国軍将軍から携帯電話番号と妻の死に際のメッセージを託され(未来)、それをもとに中国軍将軍に停戦を説得する(現在)という展開…!
宇宙人語がわかったのは未来の自分が宇宙人語の本を書いていたから?どういうことだってばよ?
自由意志の問題
なんといってもこの映画で一番想像力を掻き立てられたのは、宇宙人語の習得によって意識が変容した主人公の行なった選択です。
序盤から断片的に挟まれる、夫との離婚と娘との死別。この記憶は未来のものだったのです。
そして、映画の終盤、将来的な破局と娘の死が分かっていながら、主人公は夫と結ばれることを選択します。
望まない未来でも、その過程を精一杯ともに生きようという選択だったのか、それとも、確定した未来からさかのぼってそういう選択をするよう、そのような感情が自然に沸き起こし、選択させられたのか?もしそうなら、自分で考えた選択のように思っていても、確定した未来への最短距離を走らされているというだけというのはどういう感覚なのでしょうか?
自分の未来はすべて決定しており、現在の選択はすべて未来に向かってあらかじめ決められているものだとしたら自由意志など存在しないのではないか?などと考え、非常に不安な気分になりました。
原作であるテッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」も面白そうなので、買ってみようかなと思っています。
- 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一
- 出版社/メーカー: 早川書房
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- メディア: 文庫
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ご拝読ありがとうございました
追記:アマゾンプライムで無料で観れていたのですが、今はラインナップから外れてしまったようです。