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しょぼい30代自転車屋のブログ

自転車屋 クレーマー列伝【自転車屋に来た困ったお客さんの話】 

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ー 自転車屋を勤め続けてはや10年以上。やばいクレーマーについて書かせていただきます。

 自転車は老若男女、富める者も貧しき者も、病めるときも健やかなる時も乗るものなので客層が幅広く、常識では計り知れないお客さんがやって来るものなのです。

 いろんなお客さんと出会ったので思い出とともに記事にしました。

 

目次

  

 

引っ越すので返品したい

  「この自転車を一年前に買ったが、返品させてほしい」あきらかに酔っぱらったおじさんでした。なぜ返品したいのか聞くとどうやら、引っ越すので自転車が不要になるとのこと。

 もちろん「無理です。不良品以外の返品はお断りしています」と言ったところ「じゃあ、不良品やった」と。じゃあってなんだよ…。

 当時の私はチェーン店の下っ端だったので店長にバトンタッチ。激しい罵りあいの応酬ののち、おじさんは帰っていきました。

 その後、おじさんはもう一回やってきました。自転車を買う、そして、返品すると言い出しました。

 「自転車売ってくれや!買ってすぐなら返品できるんやろ?」

 「お前に売るもんはなんもないんじゃぼけえ!!」

 店長の怒声がとどろきました。購入即返品という行動にいったいどういう意味があるのか、理解に苦しみます。

 

5年乗って不良品だと気づいた

  これは自身の体験ではなく、メーカーの営業さんに聞いた話です。

 そのクレーマーはまず販売店に電話をしました。5年前に買った自転車だが、不良品だから返品させろと。当然販売店は断ります。当たり前ですよね。

 そして怒ったクレーマーは販売店に直接自転車を持って行き、再度クレームを付けに来たそうです。まっすぐ走らない、乗ってみろと主張します。

 たしかにまっすぐ走らない。それもそのはず、その自転車はフロントフォークが曲がっていたのです。たぶん、事故かなにかでしょう。当然店側はクレームを突っぱねます。

 次は販売店の本社へクレーム。もちろんこれも突っぱねられます。そして、メーカーーのお客様相談室へと至ります。

 とにかく確認しにうちへ来いと言われ、営業さんがクレーマーのもとを訪問。「この自転車は事故ってるので不良とかではない」「事故した覚えはない、はじめからおかしかった」の平行線をたどります。

 このクレーマーは、不良品だから返品か交換してほしいとだけしか言わず金銭の要求や脅し文句などは一切言わなかったそうです。壊れたスピーカーのように初めから不良品だったという主張を繰り返すだけ。

 メーカー側は全く話が通じなかったため、最終的には同型の新品自転車へ交換、今後はうちのメーカーの自転車を購入しない、交換した自転車へのクレームは一切受け付けない、という条件で決着したそうです。

 自転車1台ごねて新しくするためにクレーマーはどれだけの時間を費やしたのでしょうか。虚しいことです。

預けていた修理車を取りに来た

  チェーン店時代、異動した店舗で働き始めて半年、私はバックヤードにある1台の自転車が気になっていました。黒いビーチクルーザーでした。

 バックヤードは整備前の中古自転車や修理預かり車、処分自転車が山積みになっており、ビーチクルーザーはかなり奥にありました。

 ハンドルには修理預かり表が貼られており、パンク修理済みと書かれています。しかし、預かり表は変色し名前と連絡先の文字が読めなくなるほど古くなっていました。

 店長に聞いてみるといつからあるかわからないということでした。店長は1年前に異動してきています。前任の店長は退職しており、当時のスタッフに聞いても「ずっと前からあった」ということしかわかりませんでした。

 もう取りに来ないだろうし、中古自転車として売ってしまいましょうよと店長へ提案し、その自転車を中古自転車として販売しました。

 その約一か月後、奇跡が起こります。よれよれのスーツを着た若い男性のお客さんがやって来ました。

「修理に預けていた自転車を取りに来たんですけど」

「どんな自転車ですか?」

黒いビーチクルーザーです。」

「…(あれか…!)」

 持ち主が自転車を取りに来たのです。持ち主は転職し、東京へ行っていたそうですが、また大阪へと帰ってきたのです。移動するのに足がないと困るということで引き取りに来た次第。しかし、返す自転車はもう売れてありません。

 店長と私は阿吽の呼吸で芝居を打ちます。

私「店長、黒いビーチクルーザーの修理預かりってわかります?」

店長「いや、もう一年この店にいるけど分からないなあ」

店長「いつ頃、預けられました?」

客「3年位前かな。この店で間違いないと思うんだけど」

 3年かよ…。ちょっとなに言ってるか分からないというスタンスを貫き、なんとか帰ってもらいました。

客「弁償しろとは言わないですけど、足がないと困るんで捨てるような自転車でもいいんで、くれません?」

 3年自転車を預けっぱなしにした上に、最後はこのセリフ。もちろん断りましたし、売り払って良かったと思いました。サイコパスかよ。 

原価で売ってくれ

  これはタイトル通りですね。会話の流れとしては

  • 俺は昔、自転車屋で働いたことがある←わかる
  • 自転車屋はメーカーから自転車を買い、利益を乗せて売っている←わかる
  • 原価で売ってほしい←わからないし、無理
  • 断られても俺は怒らない←こわいし、無理
  • やっぱり難しい?←難易度の問題ではなく、無理

 これは怖かったですね。お客さんが真顔だったので、さらに恐怖に拍車がかかりました。原価でお客さんへ商品を売る。そんな商売は聞いたことがありません。

その他、かるいやつ

  • 初対面でつけ払いを提案
  • あからさまな盗難車を売りに来る
  • ネットで売るから中古の自転車パーツをくれ
  • ネットで買った自転車をタダで組んでほしい

 世の中にはいろんな人がいますね。ご拝読ありがとうございました。

 

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 ご拝読ありがとうございました!